細胞性免疫のはたらき

細胞性免疫は敵味方を見極める

例えば、移植手術を行う際に、靭帯の移植など自分の体の一部を別の部位に移植する手術を行う場合と、臓器移植のように他人の体の一部を自分の体に移植する場合があります。前者の場合には拒否反応は起こりませんが、後者の場合には、自分の体に合わなければ体が拒否反応を示します。この拒否反応が、細胞性免疫の効果の現れです。

体が、異物を感知して拒否反応を起こしたり、細菌やウィルスを排除したりする免疫の仕組みは、細胞性免疫と液性免疫とがあります。

 

細胞性免疫の仕組み

  1. 体内に異物が侵入したことを体が感知
  2. マクロファージと呼ばれる細胞がこの異物を捕まえる
  3. その情報をヘルパーT細胞と呼ばれる細胞に伝える
  4. 情報を受け取ったヘルパーT細胞は、キラーT細胞とリンパ球に増殖するように指示を出す
  5. リンパ球は、リホカインと言う物質を作って、マクロファージに元気を与える
  6. キラーT細胞は、自分の体の細胞とは違うと認識した異物に対して、拒否反応を示す

 

この拒否反応こそが、移植の例で示した拒否反応そのものです。
この様な拒否反応が起こることが細胞性免疫の仕組みです。

 

細胞性免疫は直接作用して免疫反応を発現

このように、細胞性免疫では、液性免疫のように、抗原に対する抗体反応は関与せずに、細胞が直接作用して免疫反応を発現することが特徴的です。

細胞性免疫は、液性免疫の働きで作り出された抗体が届かないところに潜む菌である、結核菌やサルモネラ菌などの細胞内寄生菌や、細胞内で増殖するウィルス、それに真菌に対して重要な役割を果たしています。細胞性免疫を応用すると、ツベルクリン反応によって、結核に感染しているかどうかを調べることもできます。