免疫抑制しなければいけない場合は?

敵を見間違える免疫疾患

人の体は、外界から異物が侵入しようとすると免疫反応が働き、異物の侵入を防御し、異物を攻撃して排除します。しかし何らかの原因でを誤って自己を異物と認識し攻撃することがあります。これが自己免疫疾患や膠原病といわれる病態です。

 

免疫の誤作動を改善する免疫調整薬(アザルフィチンEN、リマチル、リウマトレックス、アラバ

関節リウマチや全身性エリテマトーデス、血管炎症候群などの膠原病や、橋本病(慢性甲状腺炎)、重症筋無力症、自己免疫性肝炎(AIH)などの自己免疫疾患の治療は、この誤った免疫を抑制することです。そのため免疫調整薬(商品名アザルフィチンEN、リマチル)や免疫抑制剤(商品名リウマトレックス、アラバ)が使われることがあります。
免疫調整薬、免疫抑制薬は非生物学的DMARDsと呼ばれています。

 

関節リウマチは免疫疾患

生物学的DMARDs(抗リウマチ生物学的製剤、商品名レミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ)も免疫に働きかけて関節の破壊を抑制する関節リウマチの薬です。また、ステロイド(副腎皮質ホルモン)は、特定の遺伝子発現を調節することにより多様な作用を発揮します。炎症性メディエーターなどの発現を抑制するので、抗炎症作用や免疫抑制作用もあります。

 

免疫抑制には時間がかかる

これらの薬剤は、すべて即効性ではありません。効果が発現するまでには時間がかかります。
多くの場合、効果判定は数週間~数ヵ月後です。

 

免疫抑制の薬にはリスクがある

一方でこれらの薬剤は、免疫抑制作用によって正常な細胞へは毒性物質となり、感染のリスクが上がります。免疫を抑えすぎると、感染しやすくなり、まだまだ多くの研究課題が残っています。

 

免疫抑制薬は使い方が大切

一昔前は著しい関節の変形を来たし不自由な生活を余儀なくされていたリウマの患者さんたちが、今では免疫抑制剤のおかげで、不自由な生活を余儀なくされるという症例はわずかとなりました。

免疫を程よく抑制する副作用の少ない免疫抑制薬の研究・開発が日夜行われています。