免疫寛容は人の持つちから

アレルギーを徐々に抑える免疫慣用

近年、食物に対するアレルギーを持った子供が増加しています。厚生労働省の調査によると、なんらかの食物アレルギーをもった小中学生の人数は、2004年の約33万人に対し2013年には約45万人に増加したことが報告されています。少子化で子供の数が減少しているにも関わらずです。

卵や乳製品に対するアレルギーも大変ですが、さらには米や小麦粉に対するアレルギーをもってしまうと食事もままなりません。しかしながら、アレルギーをもった子が一生その食物を食べられないのかいうと、必ずしもそうとは言えません。

 

免疫寛容は人の持つ力?

通常人間の体は、体内に細菌やウイルスなどの異物が入ると免疫細胞がその異物を攻撃するようにできています。しかし異物であればすべて攻撃してしまうとすると、食物や水や空気に対してさえも攻撃してしまいます。こういった無害なものや、普段から大量に体内に入るものに対して行き過ぎた免疫反応を起こさないように我々の体はできているのです。

 

後天的に得ることができる免疫寛容

食物アレルギーがあると、免疫細胞がその食べ物に対して過剰に反応してしまいます。しかしこの免疫寛容を後天的に得ることができます。アレルギーを引き起こす食物をとり続けることによって、「この食べ物は有害なものではない」と免疫システムが記憶していくのです。

 

身体を甘やかせ過ぎてもダメ

近年カビやハウスダストにアレルギー反応を起こす人が増加していますが、これは家屋が清潔になりすぎたせいでホコリなどに対する免疫寛容を得ることができないからだという説があります。食物アレルギーも同様です。あまりに神経質にアレルゲンを避けるより、むしろ無理のない範囲で少しずつ摂り続けることで免疫寛容を得るほうが有益といえます。

もちろん無理をしてはいけませんが、アレルギーのある子供を持った親御さんは、免疫寛容というものがあることは覚えておくべきでしょう。